「気候変動教育を進める指針」を作成しました

 日本環境教育学会の「気候変動教育」研究会では、3年間の検討を経て、2024年6月に「気候変動教育を進める指針」を作成しました。これからの気候変動教育を進めていく、きっかけとなるように、ビジョンと実践のカタチを提起する目的で作成したものです。
 実践的な研究者の立場から、あるべきビジョンや実践のカタチを示した本指針が、気候変動教育に関する創造的対話の場の創出や、実践へのチャレンジと成果の共有を進める一助になればと願うものです。

 本指針の概要は下記の通り。

指針の対象:気候変動教育に取り組む教育者、研究者、行政関係者

指針の範囲:学校教育と社会教育

指針の作成主体:日本環境教育学会の「気候変動教育」研究会

指針の作成方法:日本環境教育学会に気候変動教育研究会を設置し、気候変動教育プログラムの試行を行ったうえで、3年間の成果として指針をまとめた。

指針の構成:

 第1章では気候変動教育を取り巻く状況を踏まえ、新たな気候変動教育の必要性をまとめました。第2章では、国内外における気候変動教育の実践、関連する施策、関連する研究等の動向をまとめ、日本の気候変動教育が不十分な点を課題としてまとめました。第2章までで、本研究会における問題意識の根拠や視点を明らかにしています。

 第3章は、第2章のまとめを受けて、気候変動教育のあるべき方向性(ビジョン)をまとめました。教育デザインにおいては、アクティビティ、プログラム、カリキュラム、プロジェクト、システムの検討が必要となるが、このうちあるべきプログラムの要件についても、第3章にまとめました。

 本指針を作成した研究会では、第3章で示した要件に対応するプログラムの開発を募集し、実際にプログラムの開発と評価を進めていただきました。その結果をもとに第4章を作成しています。第4章に示すプログラムは、研究会の活動の一環として試行し、評価までを行ったプログラムの紹介です。知識提供型ではない、社会を変えることに踏み込み、政策と連動することを重視した、おすすめのプログラムとなっています。

 第5章では、あるべきプログラムを普及させ、実践していくためのシステムや行政施策のあり方をまとめました。本指針はあくまで気候変動教育に関する議論や実践を広げていくためのきっかけであり、その議論や実践を進めることが今後の課題となります。 

 指針の本文は以下のリンクから閲覧できます。